先日、和紙の内装施工でお世話になっている表具店の武田さんとお話する機会がありました。そこで、昔から気になっていた事を聞いてみました。

和紙を壁紙として貼る場合に、「ビニールクロスを貼る糊(クロス糊)で貼る場合と、昔ながらの煮糊(でんぷん糊)を使う場合とではどのような違いがあるのか」という疑問です。

昔からクロス糊は和紙と相性が良くないと何度も聞かされてきました。
ではどう良くないのでしょうか。

【貼り方にも違いがある】

通常、新築住宅やリフォームで和紙の壁紙を依頼した場合、指定しないかぎりビニールクロス壁紙と同じ糊を使って、和紙をベタ貼りされることが多いようです。機械で一気に糊を塗れますし、工期も非常に早く、あっという間に仕上がります。

一方で、和紙の扱いに慣れている経師屋さん(表具屋)が貼る場合は、予算にもよりますが下地には浮け貼り(袋貼り)をしてから、表貼りを行います。
袋貼りは和紙のフチにのみ糊付けをして、中央部には糊を付けない貼り方で、和紙の調湿性を最大限に活かすことができます。仕上がった和紙の壁は、乾燥しているときにはピンと張った状態に。湿気が多い時にはふんわりとした感じになります。

フチに濃い糊を塗っています(和紙壁紙)内側には水のような薄い薄い糊を塗っていきます(和紙壁紙)
※表貼り用の和紙に糊を塗っているところです。フチには濃い糊、中心部分は薄い糊を用いることで、仕上がりが綺麗になるそうです。

2種類の糊を使用しています(和紙壁紙)貼っている途中(和紙壁紙)漆の和紙(和紙壁紙)下貼り、上貼り共に袋貼り(和紙壁紙)
※白い和紙が浮け貼り(袋貼り)、茶色い和紙が表貼りです。表貼りを下から貼っていく事で、継ぎ目にホコリがたまらない様になります。

【糊は用途に合わせて濃度を調節】

日本の表具ではその昔、糊を入れたかめを何年も床下に保存し腐敗させて、接着力が弱くなった古糊を使う事もあったそうです。今の世の中では強力な糊を使ってバシッと貼るイメージですが、昔の技法では、数年後に修復を想定した糊の選び方をしています。
もし糊が強すぎると修復そのものが出来ないという事なんですね。

現在では糊も扱いやすいものが出回っているので、濃度を調節して使用しています。

【糊によって出てくるシミや黄ばみについて】

糊の違いについて武田さんいわく、「クロス糊で貼った場合、和紙に染み込んで表面に上がってきた糊剤が経年により、シミや黄ばみの原因となる」とのこと。それが5年先なのか10年先なのかは状況によりけりですが、必ずとは言えないもののリスクがあるともお話されていました。
クロス用の糊による出たシミ(ビニール壁紙)
※黄ばみの参考写真。クロス糊が付いたまま放置するとこの様な茶色いシミが出てくる事があります。

この黄ばみに関しては、ビニールクロスが使われている住宅の場合、よく問題になります。
ビニールクロス自体は水分を通さないので、糊が表面に上がってくる事はありません。しかし、クロスのつなぎ目の部分など、表面についたクロス糊をきれいにふき取っていないと、数年後に黄ばみが出た!という例を多く耳にします。

一方で武田さんが昔から使う糊は、シミや黄ばみが起きないようなものを使用しているからその心配がないのだとか。

確かに!実は、実家の内装は武田さんに和紙を壁紙として貼ってもらいましたが、あれから20年近く経った今も黄ばみやシミなど一切ありません(#^^#)

これから和紙壁紙を検討されている方は、糊についても是非吟味してみて下さい。

※弊社ではこちらのデンプン糊を使用しています。
経師屋さんが使う本格的な糊ではありませんが、和紙との相性がとても良く、シミも発生した事がないので長年使っています。ホルムアルデヒドなど化学物質も未検出で、DIYなどにも安心して使えます。


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