さて、前回の和紙と洋紙の違いとは「日常にある紙 編」の続きになります。
今回は、下記の5つの項目について解説していきます。

「和紙と洋紙の原料について」
「和紙と洋紙の違い」
「和紙の定義・捉え方の違い」
「それって本当に和紙?」
「白くて綺麗な和紙には、こんな理由があった」

<和紙ってどんなもの?>

和紙と洋紙の原料について

【和紙の原料とは?】

写真:左から楮、三椏、雁皮
楮(こうぞ)三椏(みつまた)雁皮(がんぴ)

和紙の主な原料は「楮(こうぞ)」、「三椏(みつまた)」、「雁皮(がんぴ)」。それぞれ、靭皮(じんぴ)という部分を使います。Yahooの百科事典で「和紙」を調べると、抜粋ですがこのように書かれています。
日本でつくられる手漉(す)きの紙をいう。木材パルプを原料として機械によって量産する洋紙に対し、和紙は植物の靭皮(じんぴ)繊維をとってすべて手作りで漉くのが特徴となっている


蒸した後、皮をはいでいきます。
※この靭皮というのはいわゆる甘皮(原料の表皮をめくったすぐにある部分)のこと。
原料を蒸した後に手作業で皮をはいでいき、その中側にある白い部分が和紙の原料になります。
残った芯の部分や表皮は、薪(まき)等として無駄なく使います。

【洋紙の原料とは?】

洋紙の主原料はパルプです。大きく分けて下記の4種類あります。

・木材パルプ(針葉樹・広葉樹の幹を原料としたもの)
・非木材パルプ(サトウキビや竹などをはじめとした植物を原料としたもの)
・古紙パルプ(使用済みのパルプを原料としたもの)
・合成繊維パルプ(レーヨンやビニロンなど化学合成繊維を原料としたもの)
※洋紙は量産やコストを抑える為に、様々な薬品を使用して製造しています。


和紙と洋紙の違い

【和紙】

・繊維が太く、強度が高い
・長期保存に向いている(日本で最古の和紙は702年(約1300年前)のもの)
・原料や量産がしにくいため、高価

【洋紙】

・繊維が短く、強度が低い
・変色しやすい(主に黄変、まわりがボロボロになってくる等)
・大量生産しやすいため、安価

和紙の定義・捉え方の違い

Yahoo百科事典では「日本で作られる手漉き和紙をいう」とあります。
これは西洋から入ってきた洋紙と区別するためにつけられた、和紙の定義として最も古いものです。
ただし、定義は常に変わらないものではありません。

明治以降の改革で和紙の機械化が進められ、和紙原料以外にパルプ(洋紙の主原料)などの木材原料も使われるようになりました。そのため今度は「手漉き・機械漉き」「国産原料・海外産原料」「純粋な和紙原料のみを使用しているか」なども区別する必要が出てきたため、定義が時代背景や考え方よって徐々に変化していきました。

【弊社が考える和紙の定義】

ちなみに、もしお客様から和紙の定義は?と聞かれたら「和紙原料を使って、日本国内で手漉き・機械漉きされた紙のこと」とお伝えします。もっと厳密にいえば「国産の和紙原料100%を使って、薬品など使わず(靭皮繊維を傷めずに)手漉き・機械漉きされた紙のこと」となります。機械漉きも元をたどれば、手漉き職人さんが作り上げたものだからです。

和紙の定義は捉え方や考え方によって人それぞれ異なります。
まずは「色んな考え方がある」ということを知って頂けたら嬉しいです。

それって本当に和紙!?

世の中には沢山の「和紙」と呼ばれるものが販売されています。
しかしその中には和紙と謳っておきながら洋紙の原料となるパルプのみで作られたいわゆる「偽物」もあります。

他にも和紙の原料は入っていても数パーセントで、殆どがパルプしか入っていないものもあります。
パルプの配合比率によって簡単に分かる物から、私達でも分からないものまで様々です。

白くて綺麗な和紙には、こんな秘密があった

白くて綺麗な和紙を作るのには、本当に手間隙とコストがかかります。
詳細は他のサイトでも詳しく載っているので割愛しますが、専用の漂白剤を使って原料を白く脱色して漉いた和紙などもあります。

一見、仕上がった和紙は白くてとても綺麗に見えます。
実は、これも曲者です。

趣味で簡単に使いたい等の用途であればかまいませんが、長期的に保存したい美術品などに使われる和紙には使ってはいけません。※弊社ショールームに来られるお客様にも、必ず使用用途をお聞きしています。

【なぜ漂白された和紙がダメなの?】

それは、漂白剤などを使わず手間隙かけて作られた本物の和紙は靭皮繊維(和紙の主原料の部分です)の痛みも少なく、pH値も中性です。

一方で、漂白した原料は繊維も傷みpH値も酸性で、長期保存には向かない和紙になります。
(ちなみに本物の和紙の耐久性は約1000年以上、ph値が酸性の洋紙だと100年でボロボロになり、中性の洋紙だと300年程はもつと言われています。)
100年経っても色合いが変わらない大福帳
本来の和紙は、経年によって葉緑素が抜けて自然と白くなっていきます。

そのほか漂白されていない和紙であっても、数年で茶色っぽいシミが出てくるものもあります。
様々な理由がありますが、使用する原料や製造工程に問題があります。
茶色い斑点が現れています。
※画像はクリックすると大きく見れます。

もう少し分かりやすい写真して、下にもう1枚ご用意致しました。
こちらにも茶色い斑点が現れています。
こちらは柿渋染めの和紙ですが、それとは異なる斑点が出ています。

もし、長期保存を目的とした和紙をお探しの方は、漂白されていない中性の和紙で、尚且つ「数年ねかせた和紙」をお求め頂く事をオススメします。(取扱いの店舗ですぐには確認出来ない場合もありますが、お願いすれば教えてくれると思います)

まるでワインのように経年によって熟成されていく和紙。
漉いて間もないものよりも年数が経った和紙の方が価値があるとされ、書道をされている方などは書き味も良いと好んでお求めになる程です。

工程を省いた和紙は、数年で確実に和紙の表面に結果として出てきますのでご注意下さい。

和紙の話になると、どうしても長くなってしまいます(笑)
長々とお付き合い頂き有難う御座います。

さて次はこの題、最後の回になります。
次回もお楽しみに♪

【和紙と洋紙の違い解説シリーズ】
下記リンクからご覧いただけます。


第1回 「 日常にある紙 」 編
第3回 「 見分け方 」 編 (最終回)


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